2015年05月18日

スダーン&東京交響楽団 モーツァルトとフランク

2015年5月14日(木) 19時 サントリーホール
東京交響楽団第630回定期演奏会
[プログラム]
モーツァルト:交響曲第31番ニ長調K.297「パリ」
同:フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299
フランク:交響曲ニ短調 作品48
ユベール・スダーン指揮 東京交響楽団
フルート:高木綾子
ハープ:吉野直子

 久しぶりにコンサート評を書こう。3年前に今の学校に移ってから、めっきり更新が減ってしまっている。加えてPC環境の劣化(Windows Vistaのノートの老朽化)が更新への意欲を失わせる。今朝も、通勤時に30分以上座れるから書き始めたが、PCの立ち上げに20分近く。書く時間は残りの10分というひどい状態を何とかしないといけない。

 東京交響楽団は、音楽監督がノットに代わって2シーズン目に入った。前音楽監督のスダーンを迎えての定期演奏会は、パリで初演された作品を集めたプログラム。1曲目の「パリ交響曲」は、ピリオド奏法で、特にトランペットはナチュラル・トランペットを使うが、対向配置は採用しないという選択。1778年当時のパリのオーケストラの配置について詳しく知らないが、資料に基づいた選択なのだろうか。弦は当時のパリのオーケストラのような大編成ではなく10‐8‐6‐6‐4の編成。パリでの初演よりも人数は少ないけれど、ピリオド奏法で各パートの動きは埋没せず活き活きと聞こえて飽きない。トランペットの楽器の違いは、全体の響きを実に大きく変える効果がある。こうしたスタイルを取るオーケストラが日本でも増えてほしいものだと思う。
2曲目のフルートとハープのための協奏曲、ソリストは日本の女性を代表する2人。高木綾子は、小柄だがしっかりと息のあるフルートを聴かせてくれる。ハープの吉野の安定感は抜群でハープの守備範囲を知り尽くしてしっかりと押さえている。この曲は、特に第3楽章のオケに音のない場面でハープのためにオーケストラの音量をコントロールするのが難しく、冗長に感じられる場合もある曲だと思うが、ハープの守備範囲をしっかりと押さえて演奏している。
 後半のフランクもスダーンらしい演奏。好みが分かれるところだろうが、私は好きだ。具体的な特徴を2つあげておくと、棒無しで指揮するスダーンの呼吸感がよく出ていることと、各パートの音色がよくブレンドされた響きになっていることだろう。
 棒を持たずに4つ振りで進められて行く冒頭の循環主題には、1小節ずつの息遣いがしっかりと感じられる。主題の1小節目と2小節目は4拍目が休符になっているわけだが、この休符を、息を詰める時間ではなく次のフレーズに向けて呼吸する時間にしているのがスダーンのフレージングの特色だ。もっと張り詰めた間合いの取り方もあるだろうが、フランクの他の作品との共通性という点では、自然なやり方だと感じた。また、どこか特定のパートを強調すると言った操作を好まず、弦のバランスを作る際に第1ヴァイオリンをあまり強く弾かせないために、各パートの音色がよくブレンドされている半面で、対旋律も含めて、注意深く聴いていないと混沌と聞こえるのもスダーンの特質だと思う。CD等でもっと輪郭のはっきりした演奏に親しんでいる方には、「何が言いたいのかもどかしい」という感じ方もあるだろう。私は、第2ヴァイオリンやヴィオラが、特に指示された時だけ強く弾くというスタイルよりも、常に各パートが自然に弾いた結果として弦の響きが出来あがるような演奏が好きだから、この点でも楽しんだ。
 概ね楽しんだ演奏だが、いくつかの心残りも記しておけば、第2楽章冒頭のピツィカートは、より表情豊かなやり方もあったのではなかろうか。また、第3楽章で第2楽章の主題が回帰する瞬間は、管のブレスをもっと合わせて明確に主題を響かせても良かったのではなかろうか。
それにしても、スダーンにはまた時々登場してもらいたいものだと感じた。
posted by 英楽館主 at 18:31| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサートつれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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