2009年05月18日

4 4月の東京交響楽団(2)

4月25日(土) 18時 サントリーホール
ニコラ・ルイゾッティ指揮 東京交響楽団
(曲目)
 メンデルスゾーン:序曲『静かな海と楽しい航海』
 ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調Op.21
 ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98

 サントリーホールのホール・オペラで東響と共演を続けて好評のイタリア人指揮者、ニコラ・ルイゾッティの首席客演指揮者就任披露ということで、かなりの期待を抱いて足を運んだが、それは完全に裏切られた。交響曲2曲は、メロディーだけをやたらと強調した演奏で、ストレートに大きな音を出す楽しさはあるかもしれないが、それならば何もクラシックを聴かなくてもよいのではないかと思われてくるし、全く見当外れの演奏だとしか思えないからである。敢えて言葉を探せば、カーニバル的な演奏スタイルと評することもできるかもしれないが、ベートーヴェンやブラームスの演奏で、旋律のお祭り騒ぎの陰に内声が掻き消されて作品の構築性が隠れてしまうと、作品の本質は見えなくなってしまう。
 とは言え、1曲目のメンデルスゾーンの『静かな海と楽しい航海』は、プロのオーケストラでも日常的には演奏しない曲だし、アンサンブルも難しいので、「箍(たが)が外れない」範囲でうまくまとまって、新鮮な演奏だった。リズム感の良さなど、ルイゾッティの棒にも長所がうかがえたと思う。
 私は、「音楽を楽しもう」というルイゾッティの姿勢以上に、それをどう表現するか、的確な演奏を探求せず、ルイゾッティの「もっとやれ!もっとやれ!」という棒に無節操に120パーセント応えてしまうコンサートマスターの大谷康子に問題があると思う。ルイゾッティにとことん付いて行く大谷は、無邪気なまでに楽しそうに見える反面で、パート間のバランスなどに対する配慮が乏しくなっているように思われる。要は、コンサートマスターとして果たすべき機能を十分に果たしていないのだ。ここ数年、メンバーの新陳代謝も盛んな東京交響楽団に必要なのは、「大人の音楽」を持ったコンサートマスターであろう。
posted by 英楽館主 at 13:56| 東京 晴れ| Comment(2) | TrackBack(0) | コンサートつれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まったくもって、見当違いなご批評と思います。大谷さんの演奏とリーダシップを「コンサートマスターとして果たすべき機能を十分に果たしていない」とか、「大人の音楽を持たない」とか断じられるからには、あなたはさぞ立派な音楽教育を受けられ、確かな批評耳をお持ちのことと思います。ブログという形式にしろ、ご意見を公表されるからには匿名ではなく、実名で公開論争しませんか?私もその演奏会にはいましたが、音楽的には(音の情報だけでなく、情操や情緒を内包したものを音楽というなら)、特にベートーベンにおいてはルイゾッティの持ち味を100%引き出した東響と大谷さんの名演だったと思います。昨今、同じ東響の音楽監督による演奏を無批評に持ち上げるプロの批評が多いなど日本の音楽界の方向性がおかしな方向に進んで行かなければいいがと憂いています。
Posted by キャスラー at 2009年06月09日 14:19
キャスラー様

お返事遅くなりました。

〉ブログという形式にしろ、ご意見を公表されるからには匿名ではなく、実名で公開論争しませんか?

英楽館は、ブログ自体は「匿名」でやっていますが、意見性の強いことを述べる時は実名で書いています。また、私の実名入りでリンクを張って紹介してくださっているサイトもありますので、グーグル等で「英楽館」を検索すれば、私の実名はすぐに出て来るようになっております。ただ、この書き込みの形だとキャスラー様のお名前はわかりようがありません。

〉特にベートーヴェンにおいては…名演だったと思います。

あの演奏に満足しておられた方もいたということですね。でも、「プロの批評家」の立場からすれば、演奏のスタイルの選択は様々で個人の好き嫌いとは別だということには留意して批評するとしても、ベートーヴェン自身が指定した強弱に無頓着な演奏は許容できません。

〉昨今、同じ東響の音楽監督による演奏を無批評に持ち上げるプロの批評が多いなど…

私もスダーンと東響の演奏を評価することが多い批評家ですが、それも是々非々で、「無批評に持ち上げる」わけではありません。ただし、スダーンと大谷康子の音楽性に噛み合わない部分があることは認識しています。
全体に「見当違い」のコメントですが、この最後の1文で、キャスラー様の立場がかなり感情的なものであることが隠せなくなっています。
何はともあれ、ベートーヴェンやブラームスのスコアを勉強なさってください。

英楽館主 山之内英明
Posted by 館主 at 2009年06月21日 09:08
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