2009年05月22日

B→C 益田正洋

4月14日(火) 19時 東京オペラシティ・リサイタルホール
B→C 益田正洋 ギター
(曲目)
 J.S.バッハ:リュート組曲ホ長調BWV1006a
  (原曲:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調)
 ヘンデル:ソナタ Op1−15(福田進一編)
 J.S.バッハ:シャコンヌ
  (原曲:無伴奏ヴァイオリン・パルティータBWV1004より)
*      *      *
 ヴィラ=ロボス:5つのプレリュード
 マシュー・ダン:『アパラチアの夏』
 レオ・ブローウェル:ソナタ(1990)

 1か月も前のコンサートだが、プログラムに多少のメモを残しながら聴いたので、それを頼りに備忘録を書いておきたい。
 私にとっては、久しぶりに聴くギターのリサイタル。そして、久しぶりのB→Cだった。この2年間、部活動の顧問の関係で火曜日は身動きが取れなかったのだ。久しぶりに訪れたリサイタル・ホールはほぼ満員の盛況。後方下手側から聴いた。
 前半のバッハ2曲のうちでは、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータを全曲リュート用に編曲した、『組曲ホ長調』が特に面白かった。同じ弦楽器でも、擦弦楽器と撥弦楽器では特性が大きく違うが、通常の楽曲以上に緊張感の維持が不可欠な『シャコンヌ』の場合、ヴァイオリンで弾く方が表現の可能性が深く、ギターだと「敢闘賞」で終わってしまうのに対して、様々な舞曲を束ねた『組曲ホ長調』の場合、重音を鳴らす前に弦を押さえる間を取って鳴らす余裕のある曲だと、原曲のヴァイオリンにはない、穏やかな響きが何とも言えない雰囲気を醸し出すからだ。この日は、人身事故で電車が遅れて、ギリギリにオペラシティに飛び込んだのだけれど、そうした日々の張りつめた生活のストレスを癒してくれる柔らかさがある。私は益田のギターから、音楽をテンポ通り進めるための技巧の完璧さよりも、そうしたギターでないと出せない響きを作る瞬間を大切にしているという印象を受けた。
 後半では、ヴィラ=ロボスがとても面白かった。ショパンのピアノのように、ヴィラ=ロボスにとってギターは親近感のある楽器だったこと、内面を吐露することの出来る楽器だったに違いないことが、曲から伝わって来た。
 譜面を見ていないけれども誤解を恐れずに書くと、1曲目は3拍子で、螺旋状に上って行く音型が印象的。2曲目は2拍子系のリズムで、高音の人懐こさが耳に残った。3曲目は静かな3拍子。それに対して、4曲目はゆっくりだが強弱のメリハリがある。最後の5曲目は、6拍子で他の4曲よりもメロディー性が豊かだった。1曲ごとの楽想の変化と、弾き手の益田の作品への共感で、詩情とヴァラエティーに富んだ音楽を味わえる心地よい時間だった。
 マシュー・ダンの『アパラチアの夏』は、コンクールの課題曲にふさわしい多彩な技巧が要求される曲。プログラム最後のブローウェルのソナタは、3楽章構成。第1楽章にはベートーヴェンの『田園』交響曲からの引用が含まれる。間奏曲風の短い第2楽章の後、第3楽章は第1楽章とは対照的な激しい音楽。ダンもブローウェルも、ギターの可能性を追求している作品だが、印象深さでは、詳述した2曲に尽きるように思われた。
posted by 英楽館主 at 02:04| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサートつれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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