2009年10月02日

リットン指揮都響の『火の鳥』1945年版

都響第684回定期演奏会 ほか

9月29日(火)
 仕事を終えて、まずは東京會舘での「観世銕之丞さんの芸術院賞を祝う会」へ。乾杯には間に合わなかったが、いろいろな方と歓談。銕之丞さんの交友の広さ、そして先代銕之丞(静雪)氏の交友関係も含めて、多彩な方々が集まっていた。総勢300名くらいだろうか?大鼓の柿原崇志氏や歌舞伎の坂東三津五郎氏と初めて言葉を交わす機会を得た。受付の仕事を終えた銕仙会の若手の能楽師の方々とも、ワインを片手に話す。私が、「能のことはわからないことが多くて、書くのが難しい」と言うと、「でも、内部の人間には書けないし、山之内さんみたいな人にどんどん書いてもらわないと…」と言うれて、気を入れて舞台を見なくてはと思う。
 早めに会場を後にして、サントリーホールでの都響の第684回定期演奏会を後半だけ聴くつもりだったが、予定よりも早く進行しているとのことで、開演前に掲示をもとにメールで知らせてもらった時間に到着すると、後半の1曲目、ストラヴィンスキーのバレエ音楽『カルタ遊び』が始まっている。事務局に訊くと、ゲネプロ終了後に、1曲目の『サーカス・ポルカ』の前から2曲目のピアノ協奏曲ピアノを出しっ放しにすることになって、セッティングの時間がなくなったため、予定が早まったとのこと。平日のコンサートは事情があって後半を目指す定期会員もいるし、都響の場合には「遅割り」もあるのだから、時程表は見栄えが悪くても手書きで訂正してほしいと要望した。結局、4曲目のストラヴィンスキー『火の鳥』組曲(1945年版)を聴く。指揮は、都響とは初共演のアンドリュー・リットン。
 9月の都響定期は、新しくソロ・コンサートマスターに就任した四方恭子の就任披露を兼ねている。私の都響Bシリーズの会員席は2階RAブロックで、第1ヴァイオリンと正面から向き合う位置で、パートの中で何が起こっているか「よく見える」席だが、都響の弦は、相変わらずよく揃っていて気持ちよく聴ける。コンサートマスターの仕事ぶりを観察するには、このRAのややPブロック寄りは一番よく見える席ではないかと思う(ちなみに、読売日響の定期・名曲の席は、第1ヴァイオリンを側面から見るので、各プルトの裏や折り返しのプルトはよく見えないが、各プルトの表に座る奏者に関しては「よく聴こえる」席である)。
 四方恭子は、ドイツから帰国後、関西を中心に活動しながらも、都響にはソリストとして出演したり、ゲスト・コンマスとして弾いたりして来た。今回も、コンサートマスターの席に座って、違和感なく周囲とコンタクトが取れているように見える。自分だけが指揮者について行くのではなくて、指揮者とオケの間に立って何が出来るのかを考えながら弾いているという風に見えた。
 さて、ストラヴィンスキーのバレエ組曲『火の鳥』は、1919年版で聴く機会が圧倒的に多いが、今回は珍しい1945年版での演奏。リットンは「彼(=ストラヴィンスキー)の最終版である1945年版でお届けします」と述べており、版の選択には確信がうかがえる。その1945年版は、特に前半に1919年版にはない箇所があり全曲で28分ほど、どちらかと言えば「乾いた響き」が特色だ。別の言い方をすれば、音色に「ロシア的」な要素や「夜の暗さ」が感じられないのが特徴。その代わり、ハープの音などがよく聴こえる。
 欲を言えばリットンの棒にさらに切れ味が欲しかったが、1945年版の価値や位置付けがわかるという意味で興味深い演奏だった。都響は、弦だけでなく木管・打楽器も好演。
posted by 英楽館主 at 22:46| 東京 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサートつれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/129361166

この記事へのトラックバック