2009年10月26日

ブックデザインの展覧会

RIMG0288.JPGRIMG0290.JPG10月24日(土)
 中間試験が終わった。まだ 採点や原稿の締め切りが残っているが、少しホッとした。夕刻、神田錦町の「Kandada」に立ち寄り、「高麗隆彦と桂川潤のブックデザイン」展を見る。最終日で、到着した時には既にエンディング・パーティーが始まっていたが、展示されていた本を手にとって1時間あまりの時間を楽しんだ。絵画や彫刻、写真ではなく、本の装丁の展覧会というのは、珍しい企画なのではないだろうか。
 本というものは、書店で手にとって買いたくなっても、懐具合や書棚のスペースの関係で、全部は買えるものではない。それでも、何度も手にとって「やっぱり買おう!」と決心して買ってしまうことがしばしばある。そんな時には、本の装丁に心をひかれるかどうかも決断を左右する要素になると思う。
 高麗隆彦(=長尾信)氏は、歴史や哲学、美学など、人文関係の本を多く手がけておられる。桂川潤氏も幅広く仕事をされているが、キリスト教関係や在日韓国・朝鮮人に関わる書籍を多く手がけておられるのが特色だ。そして、私がこの展覧会にどうしても足を運んでおきたいと思ったのは、自分にとって大きな影響を受けたシリーズである講談社の「現代思想の冒険者たち」の装丁が、このお2人の仕事だったことを今になって知って、とりわけ興味を持ったからであった。「現代思想の冒険者たち」は、かつて、予備校で古文を教えていた私が、高校の非常勤講師として始めて現代文の授業を担当した際に、同僚のSさんに薦められて何冊かを読んだ、もしくはかじったシリーズなのである。
 はたして、会場に足を運んでみると、既に持っている本が何冊かあり、気になっていて買っていない本も何冊かあった。こうした本との出会いは、「積ん読」状態の本に手を出したり、気になっていた本を買おうと決心をしたりする大きなきっかけになることだろう。そして、それは本の装丁に携わっている方々にとっても、本意であるはずだ。
 とは言え、実際の現場で、短期間に、予算の制約もある中で、本の中身をうまく表現するデザインを考えるのは大変なようだ。イラストを描いたり、CGを使いこなしたり…。でも、限られた時間でその本を出来るだけ読み、本質を視覚化するには、技術だけでなく、装丁家の教養が大きくものを言う世界だと思う。高麗隆彦氏に「哲学や美学の本が多いですね」と声をかけたら、氏は「具体的な形のないものに、形を与える仕事に興味がある」とおっしゃっていた。
 展覧会は終了してしまったが、御興味のある方は、図録(¥500)を入手することは可能だと思う。桂川潤氏のホームページを紹介しておこう。
http://www.asahi-net.or.jp/~pd4j-ktrg/
写真説明:左は図録、右はチラシ。図録は、白の表紙(右綴じ)から開くと高麗隆彦氏の作品、反対側の黒の表紙(左綴じ)から開くと桂川潤氏の作品が掲載されている。白地に銀字の高麗氏の表紙は、私の小さなカメラではうまく写らないため、桂川潤氏の表紙のみ紹介した。
posted by 英楽館主 at 07:15| 東京 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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