2015年12月31日

2015回顧

2015年 回顧

〈私の音楽ベスト10〉
1 藤原歌劇団 ヴェルディ:『ファルスタッフ』(1月25日、東京文化会館大ホール)
2 東京二期会 ヴェルディ:『リゴレット』(2月19日〜22日、東京文化会館大ホール)
3 レイフ・オヴェ・アンスネス&マーラー室内管 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2・3・4番(5月15日、東京オペラシティ・コンサートホール)
4 アンドレア・バッティストーニ指揮東京フィル他 プッチーニ:『トゥーランドット』(5月18日、サントリーホール)
5 フランソワ・グザヴィエ・ロト指揮読売日本交響楽団 ハイドン:『十字架上のキリストの7つの最後の言葉』管弦楽版
6 大野和士指揮東京都交響楽団他 B.A.ツィンマーマン:『ある若き詩人のためのレクイエム』(8月23日、サントリーホール)
7 ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団、藤村実穂子(アルト)他 マーラー:交響曲第3番(9月12日、サントリーホール)
8 ペーター・ダイクストラ指揮スウェーデン放送合唱団 マルタン:二重合唱のためのミサ曲他(10月20日、東京オペラシティ・コンサートホール)
9 神奈川県民ホール40周年記念公演、下野竜也指揮、小森輝彦他 黛敏郎:歌劇『金閣寺』(12月5日)
10 ポール・ルイス リサイタル ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30・31・32番(12月17日、王子ホール)
〈コメント〉
今年は、昨年に比べると数多くの公演を聴くことが出来た。その中から10点を選んだ。1は、アルベルト・ゼッダの指揮も折江忠道のタイトル役も素晴らしかった。ゼッダは7月の『ランスへの旅』も元気に指揮してくれた。この人の演奏を聴く機会は本当に貴重だ。
若手のバッティストーニの快進撃も凄かった。ベスト10には『リゴレット』と『トゥーランドット』のみを挙げたが、東京フィルとの『展覧会の絵』や年末の第九も、よくぞここまでと堪能させてくれた。
アンスネスは、適切な仕事量をキープしながら、質の高い仕事をしている。ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲のツアーは、2〜4番の回だけを聴いたが、特に第3番の充実ぶりが目を惹いた。ピアニストでは、7月にラルス・フォークトを聴いたが、精彩を欠いた。ポール・ルイスのベートーヴェンの3つの最後のソナタは10月の予定が12月に延期された公演。技術と知性のバランスが高い水準で実を結んだ演奏。特に第31番のフーガで反行へと進む瞬間が忘れ難い。ピアノでは、10月27日(火)の小菅優のリサイタルも記憶に残る。制作担当者はベートーヴェンの3つの最後のソナタを打診したが、彼女から返って来た答えは、ベートーヴェン、ブラームス、ショパンのそれぞれ作品10を弾くというものだったそうだ。常に自分の視点を持って演奏活動をしている彼女の軌跡に大きな魅力を感じる。小菅は7月のベートーヴェンの協奏曲第1番も良かったが、これは、グスターヴォ・ヒメノ指揮の群馬交響楽団が冴えなかったのので選外。
 オーケストラでは、先に挙げたバッティストーニ&東京フィルの他、ジョナサン・ノット&東響に、演奏そのものだけでなく、企画性も含めて豊かな体験できる公演が多かった。大野和士と都響他の顔ぶれによるB.A.ツィンマーマンの『ある若き詩人のためのレクイエム』は、演説などの録音もコラージュされた複雑な作品だが、聴く者に、20世紀を振り返る意志を喚起してくれる不思議な力を持っていた。
 スウェーデン放送合唱団は、都響定期公演でのモーツァルト『レクイエム』等の公演も2日とも聴いたが、無伴奏での単独の演奏会が抜群。黛敏郎『金閣寺』の再演は、岩城宏之指揮での演奏を越える力演で、黛の作品が持つエネルギーの大きさを体感させてくれた。

 最後に、クラシック音楽の話題からは逸れるが古典芸能の世界で今年亡くなられた方々について一言。能シテ方の片山幽雪、小鼓の曾和博朗、歌舞伎脇役の中村小三山、市村鶴蔵など、忘れ難い舞台を残した方々が世を去られた。
浄瑠璃に軸足を置く私にとって特に残念なのは竹本源大夫だ。平成元年5月国立小劇場、織大夫時代の『菅原伝授手習鑑』「丞相名残の段」の格調の高さ、綱大夫時代最後の頃の国立文楽劇場での『妹背山婦女庭訓』「妹山背山の段」の定高の品格、近松物での語りの数々など、今後、彼を越える語り手が出るかと思われるほどの語りを幾つも遺してくれた。晩年、声量が衰えて冴えない舞台も少なくなかったことが残念だが、芸格という視点では7世住大夫以上に人形浄瑠璃文楽の歴史に足跡を残した大夫である。
そして、残念でならないのが坂東三津五郎。彼自身の舞台を見られなくなっただけでなく、多くの歌舞伎役者が彼から教わる機会が奪われてしまったことは、歌舞伎界にとってとてつもなく大きな損失だ。八十助時代からの三津五郎の真摯な舞台を知る者の1人として、これからも語り伝えたいと思う。
posted by 英楽館主 at 21:23| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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