2008年03月06日

武満徹:「テクスチュアズ」

武満徹:「テクスチュアズ」
 慌しく過ごしているうちに、2月20日はとっくに過ぎて、今日は3月7日。桃の節句も過ぎてしまった。
 今年の2月20日は、武満徹の13回忌だった。クラシック音楽の世界では、「没後○○年」という形で、仏教的な数字ではなく5や10の倍数などのキリのいい数字で人物が追憶されることが多いのだが、個人的には、「もう13回忌か。12年も経ってしまったのか!」と時の流れに感慨を覚える。
 先日、N響アワーの映像を整理していたら、岩城宏之指揮NHK交響楽団(ピアノ:本荘玲子)による武満徹「テクスチュアズ」の同じ映像が2つある、つまり2回放映されていることに気付いた。片や1996年3月に武満徹の追悼番組で放送されたもの(当時のN響アワーの司会はピアニストの中村紘子)、もう一つは、一昨年2006年夏の放送で、この年の6月に亡くなった岩城宏之の追悼番組で放送されたもの。岩城宏之が指揮をした武満徹作品の録音・録画は数多いと思うが、1987年3月に演奏された「テクスチュアズ」が、作曲者武満徹と指揮者岩城宏之2人の追悼番組で重ねて放送されていたというわけだ。それもそのはず、「テクスチュアズ」は、武満と岩城とN響、三者の出会いとなった作品だったのだ。
 トーン・クラスターの技法が用いられた「テクスチュアズ」は、武満が前衛的な作風を追い求めていた1964年の作品で、岩城宏之指揮NHK交響楽団の特別演奏会で初演されている。武満の年譜を調べてみると、N響が初演した作品としては、1958年の「ソリチュード・ソノール」(NHK委嘱、放送初演)が早いが、これは外山雄三の指揮で初演されている。
 岩城宏之の追悼番組で放映された初演の際の写真では、作曲者の指示によるのだろう、ピアノを舞台中央に置き、オーケストラは舞台の周囲に、コントラバスなどは壁にへばりつくようにバラバラに陣取っている。87年の映像は、ピアノが中央に位置する点は変わらないが、周囲のオーケストラから孤立している状態ではない。
 「テクスチュアズ」には、様々なクラスターが連続する中間部の直前と終結部に2回顔を出すヴァイオリンメロディーのほか、中間部の最初と最後が武満らしい響きを醸し出している。クラスターの冒頭、ピアノのソロよりも先にハープの響きが際立ってくるところや、同じ部分の最後でのヴィヴラフォンの響きなどに、不思議とそそられる佳作である。
posted by 英楽館主 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 名曲への散歩道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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