2008年04月07日

週末のコンサート2つ

20080331 055.jpg この週末は、2つのオーケストラ・コンサートを聴いた。
 4月5日(土)は、久しぶりに芸大の奏楽堂に赴いて、ラドミル・エリシュカ指揮の都響を聴いた。プログラムは以下の通り。批評は今週末発売の週刊『オン☆ステージ新聞』に掲載予定。
  ドヴォルザーク:交響詩「野鳩」作品110
  ヤナーチェク:組曲『利口な女狐の物語』
         (ヴァーツラフ・ターリヒ編曲)
  チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
 私にとっては、前半が面白かった。ヤナーチェクの人懐こいメロディーがやたらと耳に残ってしまうが、ドヴォルザークも面白かった。一般に、ドヴォルザークの管弦楽曲の中で、交響詩は、『スラブ舞曲集』や序曲に比べて演奏機会が少ないが、今回は、晩年のドヴォルザークがたどりついた、交響曲には見られない音色の感覚を味わうことが出来たように思うからだ。たまたま、私が昨日の午前中に国語の仕事で鷲田清一の身体論をあれこれと読んでいたことに影響されたのかもしれないが、「野鳩」冒頭のフルートとヴァイオリンで提示されるメロディーに、「透明感」という言葉よりは「皮膚感覚」とでも呼びたくなるような抑えた音色感があった。
 4月6日(日)は、みなとみらいホールで、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮の読売日響を聴く。プログラムは
  スクロヴァチェフスキ:左手のためのピアノ協奏曲
  ブルックナー:交響曲第2番ハ短調
 スクロヴァチェフスキの協奏曲は、右手が故障してしまったゲイリー・グラフマンのために書き下ろされた作品で、今回もグラフマンが独奏だった。グラフマンと言えば、子供の頃に、ジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団とのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番で聴いた懐かしいピアニスト。バリバリ弾けた人というのが私の印象。60年代にセルがクリーヴランドでしばしば共演していたピアニストと言えば、レオン・フライシャーとグラフマンだが、2人とも右手の故障で演奏活動に支障を来たすとは、なんと皮肉なことだろうか。
 さて、この協奏曲は、ラフマニノフも狂詩曲を書いているパガニーニの主題を用いた4楽章形式の協奏曲なのだが、開始は、「パガニーニの主題にどうつながって行くのか」を、意図的に聴かせ所にしている感じ。例の有名な主題は、ソロはもちろんだが、ラフマニノフは主題を割り当てなかったティンパニなどにも出て来るのが面白いところだ。約27分と、結構長い曲で、オーケストラ全体が「ジャン」と鳴った後に独奏ピアノの音が入って締めくくられる最後も、ちょっとひねりが効いた曲だと思った。
 後半のブルックナーは、聴き応え十分。第1楽章は、私がいつも脳裏に思い描くよりはやや速めのテンポで開始されたが、スクロヴァチェフスキは、第2主題で少しテンポを緩めて、2つの主題を対比させていた。第2番は、ブルックナーの中では顧みられることの少ない曲で、曲目解説では、しばしば「ブルックナーの語法が確立された作品」と位置づけられるものの、紙面の関係もあって、具体的に「どこが…」と書かれている場合は多くないが、この楽章の提示部と再現部の最後に木管に出てくる「ソーラソファ♯ソミーレードーシーラーソー」と聴こえるメロディーなどは、とりわけ再現部では、ブルックナーが木管の使い方に開眼して行く様が見えるような瞬間である。
 第2楽章は、昨年聴いたデプリースト指揮都響の演奏が主旋律重視だったのに対して、スクロヴァチェフスキは、対旋律やオブリガートの旋律をいろいろと聴かせてくれた点に満足。ただし、後半のヴァイオリンのソロ(コンサートマスター:藤原浜雄)は、だんだんと低い音域になって行った時に、ヴィヴラート過多に思われた。もう1点、最後の第1ヴァイオリンの音程をじっくり整える練習時間が欲しいと思われた。
 第3楽章の主部は、「あれ、こんなに短かったかな」という感じ。中間部ではヴィオラの丁寧なフレージングが光る。メロディーの最後で音程が跳躍するので、パートのメンバーが皆で移弦に気を配らなければならない箇所だが、行き届いていた。第4楽章も力強かったが、ちょっとテンポが速すぎないだろうか。特に第1主題の「ダ・ダ・ダ・ダン」という3連符は、もう少し音が鳴る間がないと低音の楽器が十分に鳴らないように思われる。
 スクロヴァチェフスキ&読売日響のブルックナー・チクルスは、来年3月に完結した時に批評を書こうと思っている。
(写真は、東京芸大構内にあるベートーヴェン像)
posted by 英楽館主 at 08:29| Comment(0) | TrackBack(1) | コンサートつれづれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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